狭心症とは発作的に胸の痛みなどの症状が起こる病気です。ひと口に狭心症と言ってもその原因や症状によって、大きく二つのタイプに分かれます。
身体を動かすことで起こる「労作性狭心症」と安静にしているときに起こる「安静時狭心症」になりますが、今回は、安静時狭心症について調べてみたいと思います。
安静時狭心症の特徴
安静時狭心症は、寝ているときや座ってリラックスしているときに起こります。
とくに夜中から明け方の3-5時あたりに発症することが多く、この発作で目覚めることもあります。そのため発見が遅れてしまい、突然死することもある厄介な狭心症です。冠攣縮性狭心症とも呼ばれています。
狭心症の6割がこの冠攣縮性狭心症なのではと言われていて、日本人は欧米人の4-5割も多いことがわかっています。
症状一覧
安静時狭心症の発作は数分から長くても30分くらい続きます。主な症状をみてみましょう。
- 胸の中央からみぞおちにかけて広範囲の痛み
- 胸の圧迫感
- 息が詰まるような感じ
- 胸が締め付けられる感じ
- 身体の深いところで感じる違和感
- 背中、左肩、首に痛みや違和感
- 冷や汗
- 吐き気
原因一覧
安静時狭心症は、心臓へつながる冠動脈がケイレンを起こして縮むことで血管が一時的に狭くなり、血流が妨げられて起こります。
最近では冠動脈の動脈硬化が進行することで神経作動物質のアセチルコリンが動脈拡張と逆の働きをしてしまい、冠動脈のケイレンが起こる場合があるのではないかとわかってきました。安静時狭心症を起こす誘因をあげてみます。
- 喫煙
- 飲酒
- 不眠
- ストレス
- 過労
- 寒さ
とくにタバコは大きな危険因子になります。タバコは血管を縮めてしまうので心臓によくありません。男性に安静時狭心症が多くみられる原因に喫煙があげられるのはこのためです。
治療法
冠攣縮とは冠動脈のケイレンのことで、瞬間的に起こるため病院へ行く頃には治まってしまい検査をしても異常がみられないことがほとんどです。そのため24時間心電図をとることができるホルター心電図をつけて検査します。
その他にも、心臓カテーテル検査という冠動脈へ細いビニールの菅を挿入して血管の状態を見る検査をします。その際、冠動脈のケイレンを誘発する薬剤を使って診断を確定します。治療法は薬物療法が主になります。
発作時
ニトログリセリンを舌下投与します。1-2分くらいで効き目が出てきます。舌の粘膜から吸収されますが、口の中が乾いている場合はスプレータイプもあります。
予防薬
高血圧症などに使う心臓の血管のケイレンを抑えるカルシウム拮抗剤や、心臓の働きを抑えて心拍数を低下させるβ遮断薬などを使います。
最後に
発作が起きたら、治まっても必ず病院へ行くようにしましょう。明け方に起こるこの狭心症は、突然死を起こすこともある怖い病気です。
早期発見、早期治療が非常に大切になります。一度だけの発作でも安易に考えることはいけません。内科か循環器科で診てもらいましょう。