首は、体の中でもリンパ腺がたくさん集まっている所ですが、首の痛みやしこりが気になったことがあるという人も多いのではないでしょうか?
首のリンパ腺が腫れて痛いときには、どんな病気が考えられ、どう対処すればいいのでしょうか?ここでは、そんな首のリンパ腺が痛いときの原因や対処法についてまとめていきます。
原因は?
人間の体の中には、血管と同じように全身にリンパ管が通っています。全身にある組織中の細胞と細胞の間には、細胞間の組織液があり、その多くは毛細血管を通って血液中に入っていきますが、約1割ぐらいは毛細リンパ管に入っていき、毛細リンパ管はやがて合流してリンパ管になります。
リンパ管はところどころで膨らみ、数珠状につながったような形になりますが、その膨らみの部分はリンパ節になっていて、新しいリンパ球や免疫抗体を作り出すことによって、細菌・ウイルス・異物などに対して処理を行っています。こうしてリンパ節はやがて静脈へと流れていきます。
中でも、首は耳の脇、顎の下、首筋とリンパ管が集まっているリンパ銀座とも言える場所です。特に首の側面は、表在性のリンパと深在性のリンパが多く見られます。首は、口や鼻などから喉をとおって細菌やウイルスが体の中に侵入してくる通路であり、こうした細菌やウイルスの侵入に備えなければならない部分になっているため、リンパ管が集中しています。
細菌やウイルスが鼻や口から侵入してくると、喉や首にあたる部分で白血球などのリンパ系細胞と戦いが起こりますが、細菌やウイルス軍の力のほうが強かったり、疲れなどで身体が弱っていて援軍不足であったりすると、その戦いは長引いて首にあるリンパ節のところで炎症が起こってしまいます。これが「頸部急性リンパ節炎」です。
また、炎症の他に、リンパは悪性腫瘍の転移や、リンパ節そのものが腫瘍になることで腫れて痛む場合もあり、「頸部リンパ節腫脹」と呼ばれます。鼻や口から細菌やウイルスが侵入した場合は、最初に口や喉がやられますので、喉に炎症が起こり、しばらくしてから頸部に痛みのある「腫瘤(こぶ)」が触れるようになり、多くの場合は炎症を起こしているので発熱があります。
対処法は?
首のリンパ腺が腫れて痛む場合は、原因が細菌で炎症が起こっていると考えられる場合は、抗生物質が使われます。細菌がやっつけられれば、炎症も治まりリンパ腺の腫れも引き痛みも消えていきます。
腫瘍化している場合は、切って膿を出す必要もあり、手術や放射線療法、化学療法などが行われます。首のリンパ節がしこって痛みがある場合は、細菌やウイルスによるものなのか、疲れがたまっているのか、腫瘍によるものなのかを見極める必要があります。
風邪やインフルエンザなどの細菌やウイルスによるものであれば、鼻や喉の上気道の症状が治まり、しばらくすると炎症も治まっていき自然と症状も快方に向かっていきます。また、疲れが溜まっていると思われる場合はしっかりと休息や栄養をとるようにします。
他に風邪などの症状がなかったり、しっかり休息や栄養をとってもなかなか首のしこりや痛みが改善しないで長引く場合は、医療機関を受診するようにします。
まとめ
首のリンパ腺が痛い場合は、原因が疲れにより抵抗力が落ちているのか、細菌やウイルスの感染によるものなのか、腫瘍となって痛んでいるのかにより対処法が違ってきますが、疲れであれば休息や栄養をとり、細菌であれば抗生物質、また、細菌・ウイルスであれば感染症状が治まれば自然と腫れもひき痛みも治まっていきます。休息や栄養をとっても、痛みが長引いている場合は医療機関を受診するようにします。