マダニによる虫刺されは、自己判断で処置をしてしまうと感染症を引き起こし、命の危険が及ぶような重篤な状態になってしまう可能性もあります。ここでは、マダニに刺されたらどのような応急処置をするのが良いのか、その方法についてまとめています。
マダニに刺されたときの対処の仕方
ネットの情報には、マダニに刺されたら、ピンセットで取る方法や、虫除けスプレーやワセリンをかけるなどの方法が載っていますが、皮膚に入り込んだマダニを素人が取ることは危険です。
皮膚にマダニが刺さった状態のまま、皮膚科を受診し、専門医によりメスで皮膚を少し切り、マダニを取り出すか、医療機器の穴を開けるパンチで、マダニが入り込んでいる部分とその周囲をくりぬいた後、ステロイド外用薬を塗ることで、その後の炎症を抑える治療を行います。
マダニはなぜ危険なの?
マダニは、屋外に生息していて、3mm~8mmくらいの大きさをしていて、肉眼でも確認することができ、えさである血を吸うと10mm~20mmくらい大きくなります。
マダニの頭部には、鋭いハサミのような「鋏角(きょうかく)」があり、口の部分の鋏角で人などの動物の皮膚を切り裂いて、口下片という針状の歯のような突起物を差し込み、その周りに、セメントのような役割をする物質を流し込むことで、皮膚に入り込んだマダニの頭部は外れなくなります。
無理に皮膚から外そうとすると、マダニの頭部は、皮膚の中に残ったままになり、体だけがちぎれてしまいます。
そのため、自分で取り除こうと無理に引っ張っても完全に取ることは難しく、皮膚の中に残ったマダニから感染症を起こす可能性があります。(マダニはあらゆる動物の血液を吸うため、マダニの体内には多数の病原体が存在するためです。)
素人が無理にマダニを皮膚から引き抜こうとすると、マダニの体液と病原体が人の中に入ってしまい感染症にかかってしまう危険性があります。
刺されてから数週間は体調の変化に注意!
マダニが持っている細菌やウイルスの種類により、人の体には様々な症状が起こる可能性があります。
刺された部分は紅斑という赤く腫れた状態になり、発熱・関節痛が現れる「ライム病」や、高熱の症状が出る「ツツガムシ病」などの感染症が発症することがあります。
特に近年注意が必要なのは、「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」のウイルスを持ったマダニに刺された場合で、6日~14日程度の潜伏期間の後、腹痛や下痢、嘔吐や発熱などの症状が現れ、重症になると死に至る危険性もあります。
マダニに刺された場合には、きちんと皮膚科での初期治療を行ってもらうことで、その後重症化するリスクを減らすことができます。
刺された数日後、発熱などの体調の変化が出てきた場合には、再度医療機関を受診し、重篤な症状にまでに進行させないように注意が必要です。
まとめ
ここまで見てきたようにマダニに刺されると非常に危険な場合があります。ですので、もし、「マダニに刺されたな」と思ったら、何もせずに皮膚科を受診するようにしてください。