強靭な体と強い毒をもち、自由自在に飛んで群れで生活するスズメバチ。最強の昆虫ともいわれるスズメバチも流石に無敵ではありません。
もし、スズメバチに天敵がいたら…対策に使えるかも!と思った方もおられるかもしれません。今回は、スズメバチの天敵について紹介します。
ハチクマ
ハチクマはタカ目タカ科に属する猛禽類(タカの仲間)です。体長は60cm程度。ハチクマは夏になるとスズメバチの巣を襲撃し、幼虫や蛹を捕食します。
オオスズメバチのように、地中に巣をつくる種のスズメバチの巣でも掘り起こして食べてしまいます。なぜかほとんどハチに刺されることはありません。
ムシヒキアブ
ムシヒキアブは、捕食性の昆虫でハエに近い仲間です。ムシヒキアブの一種であるシオヤアブの場合、体長は2~3cm程度です。
ムシヒキアブの成虫は、他の様々な種の昆虫を捕らえその体液を吸って生きています。硬い体をもつコガネムシすら捕食の対象です。ムシヒキアブの奇襲によって、スズメバチも時々食べられることがあるようです。
コメツキムシの幼虫
スズメバチの女王は冬を朽木の中で過ごします。そのときはほとんど動けないので、無防備になってしまいます。その無防備な女王バチを襲うのがコメツキムシの幼虫たち。
コメツキムシの成虫は、タマムシのような細長い甲虫でいかにも無害そうなのですが、幼虫は獰猛な種が多いのです。
スズメバチネジレバネ
スズメバチネジレバネは厳密には天敵ではありません。しかし、幼虫やメス成虫は、スズメバチに寄生して働かないように仕向けるため、巣の発展を阻害することがあります。
実はネジレバネも立派な昆虫の一種。スズメバチの中に昆虫がいて、栄養を横取りしていると考えると不思議ですよね。
スズメバチタマセンチュウ
スズメバチタマセンチュウは近年発見された寄生虫の1種で、キイロスズメバチ・オオスズメバチ・チャイロスズメバチの3種で寄生が確認されています。
越冬中に感染した女王は、卵巣が発達しなくなり、春が来ても卵を産まなくなるのです。国立研究開発法人の森林総合研究所で、スズメバチを駆除するための「生物的防除」に使うための研究が行なわれています。
まとめ
他にもカマキリやオニヤンマなどがスズメバチを捕食することがあるといわれています。ただし、ムシヒキアブを含め、これらの捕食性昆虫は、スズメバチを専門に食べる虫ではないため、決定的な天敵とはいえません。
ハチクマも寄生虫も扱うことが難しいので、個人がスズメバチ対策に使える天敵は皆無といっても過言ではありません。