初めて聞く方もいらっしゃるでしょうこの病気、実は案外身近な病気なのです。
たとえば、冬は嫌い、寒いからだけじゃなくてなぜか体が辛くなるから、という人。毎年冬にだけ引きこもりがちになってしまう人。それは実は冬季うつ病なのです。
実際のところ、うつ病、パニック障害の発症は12月から2月にかけてがピークとなっています。つまり夏は元気でも冬はやる気がなくなる、といったことは珍しいことではないのです。
原因
なぜ冬にだけうつ症状が多くなるのか。1つは日光不足によるセロトニン不足が原因です。セロトニンは神経伝達でとても大きな役割を果たし、精神面の安定に大きくかかわる物質です。
しかし、セロトニンは日光浴や軽い運動により発生するといわれており、寒く日光が少ない冬はセロトニンが不足しやすいということです。
更にいうと、現代生活そのものがセロトニンの発生しにくい環境だといわれています。そのためぎりぎりだったセロトニンが不足値になることでうつ症状が多くなりやすいのです。
症状
名前の通り、冬にだけ「うつ病の症状(おきられない、体がうごかない、やるきがおきないなど)」が現れます。しかしどちらかというと非定型うつに近い症状が多いです。
わかりやすいケースは、甘いものへの執着が強くなってしまい、結果摂取量が多くなる傾向にあります。また冬だけなぜか電車に乗れなくなってしまう、急行に乗れなくなるなどといった症状もあります。
認知度はさほど多くありませんが化学的な根拠もあり、「実質患者はとても多いのでは?」と指摘している専門科もいます。
ですが、冬季うつに対して世間の理解が少ない背景もあり、新型うつ病のように周囲に敵意を抱いてしまい悪循環に陥ってしまう、病気と気づかず「どうせ体質」と諦めてしまう人もいると考えられています。
治療法(薬)
セロトニン不足が原因のため、SSRIという選択的セロトニン再取り込み阻害薬の処方が一般的です。期間的であることも含め依存性の強い抗精神薬や睡眠薬はあまり処方されない場合が多いようです。
ただSSRI自体副作用がとても少ない薬であるとはいえ、稀に不眠や吐き気の副作用がでる恐れがあるため軽い睡眠薬が処方される場合も多いです。
最後に
冬季うつ病の発症の原因は冬の気候の影響です。日照時間がすくないため生活サイクルが崩れがちになるのも原因の一説といわれています。
だからこそ日照時間を大切にする必要があります。なによりも効果がてきめんに実感できる行動療法として日光浴があります。昼休憩に外でお弁当を食べるだけでも違うのです。
セロトニンは日光浴により発生する物質です。その働きを低下させないためにも日光を意識した生活をおくることが改善につながるかもしれません。