「ウイルス性胃腸炎」は、急な下痢や血便、嘔吐、悪心、腹痛、発熱等の症状が起きる感染性の胃腸炎です。
感染したウイルスの種類や個人差によっても症状が異なる事もありますが、適切な処置をせずに症状が重くなると脱水症状を起こすこともあり注意が必要な病気です。
ここでは、そんなウイルス性胃腸炎の原因となる代表的なウイルスについて紹介していきたいと思います。
ノロウイルス
ノロウイルスは有名なところでは生牡蠣からの感染がありますが、それ以外にもホタテなどの二枚貝、生のサラダ、汚染された飲料水、また汚染された食物を触った人の手を介して感染します。
毎年11月~4月にかけての時期に流行し、大人が感染するウイルス性胃腸炎の原因の大半を占めていると言われています。
また、ノロウイルスについては、こちらでも詳しく紹介しています。
ロタウイルス
ロタウイルスは保育園などで1月~4月の冬場に集団感染する事が多く冬季下痢症とも呼ばれています。ロタウイルスの発症の原因はそのほとんどが経口からの感染で、冬場が旬の二枚貝(牡蠣、あさり、しじみなど)が原因です。
汚染された飲み物や食物を接種する事による経口感染と感染した患者の嘔吐物や便に触れた人への二次感染があります。
ロタウイルスに多くの種類の型があるため一度罹って抗体ができても何度も感染する事がありますので、流行する時期には手洗いやうがいなどで感染を防ぐ注意が必要です。
また、ロタウイルスについては、こちらでも詳しく紹介しています。
アデノウイルス
アデノウイルスには季節性はなく1年を通して感染する危険性があるため、罹患率の高い乳幼児には注意が必要です。
アデノウイルスは、風邪症候群を引き起こすウイルスで、種類がとても多く咽頭だけでなく目やお腹に症状が出るものもあります。
お腹に症状が出るものを「腸管アデノウイルス胃腸炎」といい、感染の原因は糞便からの糞口感染が最も多く、手指を通してや使用済みおむつや便器なども感染経路になります。
また、アデノウイルスについては、こちらでも詳しく紹介しています。
まとめ
ウイルス性胃腸炎は有効なワクチンや抗ウイルス薬がないため、症状が出たときは原因菌がどのウイルスであっても主に対症療法を行うことになります。例えば、吐き気がひどい時には吐き気止め、熱が高い時には解熱剤、というようにです。
ただし、下痢は身体の外にウイルスを出そうとしている症状なので、むやみに止めてしまうのは却って危険があります。下痢に関しての対処は腸の調子を整える整腸剤、乳酸菌製剤が用いられる事が多いようです。
ウイルス性胃腸炎は一般的に数日で症状が落ち着くと言われていますが、高齢者や症状を伝えられない乳幼児では重症化したり、脱水症状を起こすこともありますので注意深く様子観察する事が必要です。