皆さんは副鼻腔炎という病気を聞いたことがありますか?読んで字のごとく鼻に炎症が起こる病気です。
その症状は風邪にも似ているため見過ごされがちですが、症状には特徴がありますので、長引く前に治療を行うことが大切です。
そこで今回は、副鼻腔炎の症状の一つでもある歯痛が起こる原因と対処法をご紹介したいと思います。
副鼻腔炎によって歯痛が起こる原因
副鼻腔炎とは、鼻の奥にある上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の正常な働きが失われることにより、鼻の穴である副鼻腔に炎症が生じて機能が低下してしまう状態を指します。
症状としては、黄色や緑といったドロドロとした色のついた鼻水が出る、鼻が詰まる、嫌な匂いがする、味覚・嗅覚が鈍くなる、頭痛、そして歯痛などが挙げられます。
原因としては、風邪やウイルス感染によって副鼻腔にも炎症が及んでしまうこと、白血球の1種である好酸球の増加などが挙げられます。
前者は急性のものが多く、放っておいても治ることもあります。一方でアレルギーや喘息、気管支炎、好球菌の増加などが原因となっている場合は、原因となる疾患の治療とともに副鼻腔炎の治療をとることが大切です。
また、副鼻腔炎によって歯に痛みを感じる原因としては、口と鼻は近くに存在することで、歯の痛みだと勘違いしているケースもあります。最初は虫歯や歯周病などと思い、歯科医に行って診てもらっても原因が見つからないという場合、じつは副鼻腔炎だったということもあります。
逆に、副鼻腔炎の炎症を起こしている細菌やウイルスが歯原性ということも考えられます。その場合、歯の虫歯菌や歯周病菌が原因となり、鼻にまで菌が付着することで炎症を生じてしまうというメカニズムです。
副鼻腔炎による歯痛の対処法
副鼻腔炎にともなって歯痛を訴える場合、対処法としては歯が原因の場合と副鼻腔炎が先の場合とでは異なります。
まず、歯に起こっている虫歯や歯周病が原因の場合は、歯や歯周の治療とともに、副鼻腔炎の症状を和らげるために、鼻の洗浄や鼻の細菌をやっつけるための抗生物質による治療が効果的です。
痛みがひどい場合は鎮痛剤を用いることもあります。
そして、副鼻腔炎が原因の歯痛の場合は、歯には原因はありませんので、副鼻腔炎の治療のみを行います。副鼻腔炎の治療には、風邪やウイルス感染が原因の場合は、抗生物質によって原因菌を殺菌することと鼻の洗浄が講じられます。
また、アレルギーや喘息、気管支炎などが原因となっている場合は、呼吸器科やアレルギー科での原因物質や原因箇所の治療とともに、内視鏡による原因箇所の切除などが考えられます。
細菌が原因の場合は、マクロライド系の抗生物質が効果を発揮しますが、アレルギーなどそれ以外の原因である場合にはあまり効果が認められないため、症状の度合いによって専門医の判断をあおぎましょう。
まとめ
副鼻腔炎によって起こる歯の痛み。本当に歯に原因がある場合とそうでない場合があります。
歯の治療を行ってみても何も改善されない場合は、副鼻腔炎由来の歯の痛みかもしれません。その際は副鼻腔炎を疑ってみましょう。