高齢者や肥満体型、猫背の人に多いと言われている逆流性食道炎は、ある共通点があります。それは「腹部から胸部にかけて圧迫された状態にある」ということです。
高齢者の場合は腰が曲がるなどの要因で、肥満体型の場合はお腹周りの贅肉などの要因、猫背の人は姿勢の悪さからくる圧迫などによって逆流性食道炎になりやすい傾向があります。
それに加えて、妊娠中の人も逆流性食道炎になりやすいと言われています。妊娠中に逆流性食道炎に対処していくにはどのような方法があるのでしょうか。
逆流性食道炎の仕組み
逆流性食道炎とは、胃酸が食道へと逆流して食道が炎症を起こしてしまう病気のことです。
症状には胸やけを始めとして、げっぷが出やすくなる、吐き気などが挙げられます。とくに前傾姿勢をとったときに吐き気を催すことが多くあります。
胃酸が逆流してしまうのは、ストレスや過食などによって下部食道括約筋と呼ばれている食道と胃の入り口の扉の役割をしている筋肉が弱まってしまうためです。
通常の場合、下部食道括約筋は食道から胃へと食物などを運ぶために開くのですが、弱まっていると扉の役割としての機能も低下してしまいます。その結果として、食道が炎症を起こしてしまうのです。
妊婦の場合、ホルモンバランスの崩れが原因で逆流性食道炎になることもあります。しかし、つわりも同じ原因で起こる現象ですので、一見、区別ができないかもしれません。
違いは、つわりが妊娠初期に現れ、9週を過ぎるとおさまるのに対し、逆流性食道炎は9週を過ぎても吐き気や胸やけ・げっぷなどがおさまりません。
とくに臨月が近くなってくると胎児の成長に合わせて子宮が大きくなることで胃が圧迫される状態になることで逆流性食道炎になりやすいと言われています。
妊娠中の逆流性食道炎への対策
逆流性食道炎への対策は、それほど難しいものではありません。大きく分けて、食生活と行動習慣に注意を払っていけば改善していきますし、同時に防止策にもなります。
食生活で注意することは、「カフェインの摂取を控える」、「脂っこいものを控える」、「消化しやすいものを中心にする」、「少量を数回に分けて食事をする」などです。
カフェインには胃酸の分泌を促進する働きがあるので、控えるようにしましょう。
脂っこいものを控える理由は、三大栄養素でも脂質は消化するのに時間がかかるもので、胃酸の分泌を増やすだけではなく、長時間、胃に負担をかける恐れがあるからです。
そのため消化しやすく、胃に負担が少ないものを中心に食事をしていくことで、逆流性食道炎の対策や治療に繋がっていきます。
食事量を少量にして通常よりも回数を分けて食事をすることとも胃に負担をかけないようにするための対策です。
行動習慣では、食事をしてすぐに横にならないように注意することです。食事の後、すぐに横になってしまうと胃が圧迫され胃酸が逆流しやすくなってしまいます。
食後2時間から3時間経ってから横になるのは問題ありません。食後にすぐ休みたいと感じたら、クッションなどで傾斜をつけるなどの工夫をして体を休めるようにしましょう。
生活リズムなどが不規則になっている場合は、できる限り規則正しく生活を送れるようにしましょう。不規則な生活はストレスの元となってしまうので、かえって逆流性食道炎を助長しかねません。
最後に
以上のような工夫や対策をしても吐き気などがおさまらず、我慢できない場合は、産婦人科の主治医に相談して薬を処方してもらうようにしましょう。
逆流性食道炎の薬は胃酸の分泌を抑える薬などが中心ですので、強い作用をもった薬を服用する必要はありません。その点に関しても主治医とよく相談して、自分の体質にあった薬を処方してもらうようにしましょう。