リウマチ性多発筋痛症(PMR: Polymyalgia Rheumatica)は、関節リウマチとは別の病気です。肩や腰、またはその周辺の関節や筋肉に痛みとこわばりが生じ、2週間以上続く病気です。
発症率は、日本では10万人に1.5人と、欧米に比べて少なく、発症年齢のピークは70〜80代で、男女比では1:2〜1:3で女性が多くなっています。
ここでは、リウマチ性多発筋痛症の原因・症状・治療法についてまとめています。
原因は不明
PMRは、60代以上(稀に50代)の高齢者に発症する病気です。発症する原因は分かっていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が、可能性として示されています。
PMRの症状
症状としては、首、肩・上腕、腰・臀部、股関節・大腿の関節や筋肉に痛みやこわばりが生じ、その部分を動かすと痛みが強くなる症状が2週間以上続きます。痛みのために、着替えや寝返りが辛い状態になります。
37度以上の熱や、食欲不振、全身の倦怠感、抑うつなどの症状を伴うことも多く、とくに朝、関節や筋肉のこわばりが1時間ほど続く症状は、ほとんどの患者に生じます。
血液検査では、炎症の有無を示す「赤血球沈降速度(赤沈)」または「C反応性蛋白(CRP)」の値が高くなりますが、膠原病による多発性筋炎の場合と違い、「筋酵素(CK)」は上昇しません。診断基準は赤沈で40mm/hrです。
関節リウマチと違い、手指や足指が腫れたり、破壊されて変形したりすることは稀です。関節リウマチ患者の8割が陽性となる「リウマトイド因子(RF)」も陰性です。
より重症の「側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)」を合併することもあります。
この場合は、こめかみの動脈に腫れと痛みがあり、38度以上の発熱、視力障害に加え、咀嚼時にあご関節に違和感や痛みを感じることがあります。
赤沈は50mm/hr以上となります。PMRから側頭動脈炎を併発する確率は、欧米人よりも日本人の方が低い傾向にあります。
PMRの治療法
PMRと診断されれば、ステロイド治療が良く効きます。通常は、「プレドニゾロン(商品名:プレドニン)」を10〜20mmの量で1年以上内服します。
徐々に投与量を減らしていきますが、投与が不十分な場合には再発することがあるため(再発率25〜50%)、患者の多くが、2〜3年間と長期にわたってステロイド治療を続けます。
ステロイドがあまり効かない場合、関節リウマチの治療に使われる「メトトレキサート」が投与されることがあります。
側頭動脈炎の場合もプレドニゾロンを使うことが多いですが、その場合はPMRよりも多量に処方し、また免疫抑制剤を併用します。
まとめ
ステロイド治療でPMRの症状が改善すれば、側頭動脈炎を併発する可能性は低くなりますので、きちんと治療をすることが重要です。