強い感染力を持つノロウイルスは、冬場によく流行しますが、感染経路のひとつに、ノロウイルスに汚染された食べ物や飲み物を食べることで感染するというものがあります。そこで、今回は、ノロウイルスになる食べ物や飲み物にはどのようなものがあるのかについてまとめていきます。
目次
食べ物は?
まずは、食べ物から見ていきましょう。
牡蠣などの二枚貝
牡蠣などの二枚貝を生食、あるいは、加熱が不十分な状態で食した場合、ノロウイルスに感染する恐れがあります。特に牡蠣は、冬場のおいしい時期、生食を楽しむ方も多いと思います。その他、赤貝やホタテをお寿司や刺身などで生食する場合もありますね。
なぜ、二枚貝がノロウイルス感染の原因となるのでしょうか?二枚貝は、プランクトンを餌としていて、プランクトンを含む大量の海水を体内に取り込み、海水のみを吐き出しています。
そのため、二枚貝が生息する海域がノロウイルスに汚染されると、海水とともにノロウイルスも二枚貝の体内に取り込まれ、内臓にノロウイルスが蓄積されていきます。
二枚貝には、シジミやアサリ、ハマグリ、ホタテといった有名どころもありますが、牡蠣によるノロウイルス感染の報告が多いのは、牡蠣は内臓も含む全てを生食し、ホタテは貝柱のみを食べ、シジミやアサリ、ハマグリを食べる際は加熱調理するためです。
汚染された食品
他にも、ノロウイルスに感染した人の手指、汚染した調理器具を介して汚染した食品が原因となってノロウイルスに感染することがあります。
時には、焼いてあるパンが原因の場合も報告されています。これは、焼いた後の工程でノロウイルスに汚染されたためと考えられています。
ウイルスの付着した手指で食品を調理したり、触った場合やウイルスに汚染された二枚貝の調理に使った器具をしっかり洗わずに他の食品に使用した場合、それらの食品がノロウイルスに汚染し、原因食品となり得ます。
飲み物は?
飲み物の場合も食べ物と同様に、ノロウイルスに汚染された水を使って作られたジュースやアルコール飲料を摂取することで感染する可能性があります。
浄化槽から漏れた糞便汚染した水が、井戸水に入り、ノロウイルスに汚染された井戸水を使って作られたジュースやアルコール飲料を飲んで、食中毒症状を起こした事例が報告されています。
その他、ノロウイルスに感染した人の手指を介して、水がノロウイルスに汚染される可能性もありますね。感染した人や、感染した人の吐物や糞便の処理をした人は、手洗い、手指の消毒をしっかり行うことが重要ですね。
食中毒を予防するには?
それでは、ノロウイルスによる食中毒を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?
十分に加熱調理する
ノロウイルスに対しては、85~90℃以上の温度で90秒以上加熱調理することが必要です。特に抵抗力の弱い子どもや高齢者などが食べる場合は、しっかり加熱調理するとよいですね。
調理器具を消毒する
牡蠣等二枚貝の調理に使った調理器具や食器などは、洗剤で十分洗った後、「次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)」で浸すようにペーパータオルで拭く、または、85℃以上の熱湯で1分以上加熱することで、ノロウイルスは失活し、消毒されます。
感染したら食品を扱わない
ノロウイルスに感染している間は、食品を扱わないことも二次感染の予防になります。
手洗いをしっかりする
食品を取り扱う前、二枚貝を扱った後、食事前、トイレに行った後、感染者の汚物を処理した後など、手洗いをしっかり行うことが重要です。
まとめ
ノロウイルスは、100個以下という少ないウイルス量でも、ヒトの小腸粘膜で増殖するといわれていて、とても感染力の強いウイルスです。手指を介して、食品がノロウイルスに汚染してしまうこともありますので、日頃からの手洗いが感染予防にとても大切ですね。