インフルエンザは症状が重症化するため、できればかかりたくない病気ですが、発症の原因であるウイルスの特徴を理解して手を打てば感染のリスクを劇的に下げることができます。今回は、インフルエンザウイルスと湿度の関係、また、それに基づいた感染予防について説明をします。
インフルエンザと湿度は関係している?
インフルエンザウイルスは高温多湿に弱いと言われてきましたが、近年の研究から特に絶対湿度がインフルエンザウイルスの生存、感染効率に寄与することがわかってきました。
絶対湿度とは単位体積あたりに存在する水蒸気量で表され、「絶対湿度を11g/m3以上にする」とインフルエンザウイルスの生存率を下げることができ、結果的に感染を防ぐことができると指摘されています。
ここで注意が必要なのですが、この絶対湿度は、我々が普段使っている湿度の表記とは全く違うものだということです。
詳しい説明は省きますが、絶対湿度11g/m3以上を通常の湿度換算に表記し直すと、例えば気温26度では湿度45%以上、気温24度では湿度55%以上となります。
このように、絶対湿度はその値が一定でも、「気温によって(一般的に使う)湿度の値が変わる」ことに注意が必要です。
予防のためにできることは?
インフルエンザウイルスの感染は絶対湿度によって大きく左右されます。冬場のインフルエンザ対策を考える場合には、室内温度を見ながら絶対湿度が11g/m3以上になるように湿度管理するように心がけましょう。
絶対湿度が11g/m3になる温度と湿度の関係を示しますと、22度の時は湿度約60%、24度の時は湿度約55%、26度の時は湿度約45%、28度の時も湿度約45%となります。
室内の湿度を上げすぎると結露やカビの発生などが増えてしまいますので、絶対湿度を頭に入れながら室内の湿度管理をするのが効果的でしょう。
また、冬場は室内を閉め切りにしますので、外から持ち込んだインフルエンザウイルスが長時間部屋にとどまってしまい感染リスクを上げてしまうことも危険性として指摘されています。
外部から持ち込んだウイルスを外へ出すために、一旦部屋は寒くなってしまいますが、定期的に窓を開けるなど部屋の換気を行うことも効果的と考えられます。
まとめ
インフルエンザウイルスは絶対湿度11g/m3以上で生存率が下がっていきますので、それを念頭に部屋の温度と湿度管理を心がけましょう。
ただし、それでも完全にウイルスを死滅させられるわけではありませんので、部屋の換気、健康的な食生活などによる体力管理など、様々な対応をして冬を乗り切りましょう。