一口に熱中症と言っても、その症状は様々です。中でも、よく見られる症状に発熱があります。では、なぜ熱中症で発熱が起こるのでしょうか?また、どれくらいの期間で鎮静化するものなのでしょうか。その場合、解熱剤は有効なのでしょうか?
熱中症で発熱する原因
人間の体は体温が気温よりも低い場合、肌から空気へ熱が移動し、体温の上昇を抑える働きがあります。また、湿度が低い場合は汗をかくことで、熱が体の外へ逃げる働きをして体温管理をしています。
熱中症になってしまう原因は、この体温の調節が上手くできなくなることにあります。
炎天下の中で激しい運動などをしている時に水分が足りなくなり、発汗による蒸発などができない状態にあると体温が上昇し続けます。
さらに、熱が上がり続けると体温調節機能が作用しなくなり、皮膚からの熱放出や発汗ができなくなります。
体温調節機能に異常が生じると、本来ならば暑いときに体の熱を放出してくれる熱が体内に残り続けてしまうので、暑い環境にいると体温の上昇による発熱が起きてしまいます。
熱中症の発熱は風邪のような体温上昇ではなく、水分不足による体温管理ができなくなったことによるものなのです。
発熱が見られるの期間
熱中症の発熱症状は体中に十分な水分が行き渡り、電解質補正ができれば長くても2-3日で治ると考えられています。
しかし、数日で治りはしますが、熱中症による発熱は風邪の発熱のようなウィルスと戦う為に体温が上昇しているのではありません。
体温調節ができなくなっていることで、体温が上昇している状態であるため、安易な考えでそのまま発熱症状を放置するのは危険です。
人間の体は基本的に風邪の発熱時の体温は41.5度以上には上がらないようになっていますが、熱中症の場合は体が体温を調節できなくなっている状態にあるため、体温が生命の危険ラインと考えられている42度以上になることがあります。
熱中症の症状が確認されたら、素人の判断で熱中症を放置するのではなく、医師の方にしっかりと診察してもらうことが何よりも大切です。また、微熱が長引く可能性があるという理由をいくつか挙げていきます。
クーラーや冷房が原因の場合
クーラーや冷房の設定温度が低すぎると、部屋の中と外での温度差に体がついていけなくなります。体は常に体内の温度を一定にしようとしています。
ですが、肌に触れる温度が夏場は急激に変化する環境が多く、自律神経が乱れる原因となってしまいます。このような温度変化の激しい日々が続いていくと体の負担はかなり大きなものとなっていきます。
結果、自律神経の乱れが生じ、体温調節をすることができなくなり、体内の熱を放出することができなくなってしまいます。結果として、微熱が何日も続く状態に陥ってしまいます。
睡眠の質が原因の場合
人間にとって睡眠は体を休める重要な時間です。睡眠の質が悪くて体が休みきれていないと、体に掛かっている負担や疲れ、身体的ストレスが解消されません。
睡眠の質が悪く、なかなか寝れない状態が続くと体温調節機能の負担も回復されず、微熱が続くことがあります。
再発している場合
発熱したものの、熱がすぐに下がったからもう大丈夫だと考えて、翌日からすぐに運動をしてしまう人がいますが、体の負担はすぐに消えるものではありません。
すぐ熱が下がったのは暑い環境から離れて体内の熱が消えただけに過ぎません。体の体温調節機能へのダメージは回復していないものと考えられます。
熱中症に一度かかったら、翌日から今まで通りの感覚で活動するのではなく、十分な水分補給や食事、睡眠を取って体を回復させなければ、再発してしまいます。
解熱剤の効果
熱中症では、一般な解熱剤は効きません。一般的な解熱剤の効果は、異常に上昇してしまった脳の体温設定温度を、37℃くらいの正常な温度に戻すことにあります。
ですから、ウイルスや菌の感染により発熱した人では、解熱剤により脳の体温設定温度が正常に戻ることで発汗が起こり、体温は下がります。
ところが、熱中症では、基本的には脳の体温の設定温度は正常であることから、解熱剤の効果はないということになります。
ただし、小児科などで処方される解熱剤と言われる、熱を下げる坐薬や粉、シロップや錠剤などはアセトアミノフェンという安全な成分のみでできていているため、熱中症が原因の発熱でも効果があります。
まとめ
今回は、熱中症で発熱が見られる期間や解熱剤は子供にも服用可能かなどを解説してきました。時に死亡するケースもある熱中症、十分に注意して夏を過ごしてくださいね。