糖尿病予備群とも言われる境界型糖尿病ですが、いったいどんな状態のものなのか、その症状や治療法なども含めて解説していきます。
境界型糖尿病は、血糖値が、糖尿病というほど高くはないが、正常の範囲を超えている状態、つまり、糖尿病と正常の境目にあるということから、いわゆる「糖尿病予備群」とも呼ばれます。
ここでは、境界型糖尿病の原因や症状、治療法、お薬についてまとめていきたいと思います。
原因は?
境界型糖尿病の原因は、インスリンの分泌量の不足やインスリンの働きが弱くなっていることにあります。つまり、摂取したブドウ糖を十分に消費できないため、血糖値が高い状態が続いてしまいます。
食べ過ぎたり運動不足だったりするとインスリンの働きが弱くなってしまい、境界型糖尿病の原因になります。その他、喫煙やストレスといったものも、インスリンの働きを弱めてしまう原因となります。
症状は?
境界型糖尿病の自覚症状はほとんどありません。糖尿病も進行すると喉が渇く、疲れやすい、尿の量や回数が増えるといった症状が出てきますが、境界型糖尿病の段階では、まずこうした自覚症状は現れてきません。
どういった状態が境界型糖尿病かというと、具体的には、空腹時の血糖値が110~125mg/dL、ブドウ糖負荷2時間後血糖値(75gのブドウ糖を水に溶かして飲み、2時間後の血糖値)が、140~199mg/dLのどちらか、または両方に該当した場合とされています。
この段階では自覚症状がなく、ついつい放置してしまいがちですが、数年以内に糖尿病を発症してしまうリスクが高まっていますよという通告のようなものです。つまり糖尿病発症にリーチの状態であることから、糖尿病予備群として自覚することが大切です。
ブドウ糖負荷2時間後血糖値が高くなっている人は、高血糖状態による血管の損傷により動脈硬化が進行しやすい状態になっているので、このまま放置すると動脈硬化から脳梗塞や心筋梗塞のリスクもあがってきてしまいます。
治療法やお薬は?
境界型糖尿病の治療は、まずは、食生活と運動習慣の改善を行います。
食べ過ぎている場合は、エネルギー摂取量を制限し、できれば毎日、中等度の強度の有酸素運動を20~60分行い、計150分以上運動するようにします。目安としては毎日6000歩歩くことを目標にすると良いでしょう。
血糖が高めの方に適した特定保健用食品などの利用も有用です。基本は食事療法と運動療法ですが、それに加えて経口糖尿病薬が使われます。
よく使われる経口糖尿病薬としては、食後の高血糖を抑えるために速効型インスリン分泌促進薬が用いられます。また糖の吸収を調節するα-グルコシダーゼ阻害薬も食後の高血糖を抑えるのに用いられます。
また、インスリン分泌を促進するものとして、DPP-4阻害薬も用いられます。インスリンの働きが悪い場合は、それを改善するチアゾリジン誘導体やピグアナイド薬が用いられます。
まとめ
境界型糖尿病は糖尿病予備群とも言われるもので、自覚症状はほとんどありませんが、この段階で食事療法と運動療法をベースにしっかりと血糖コントロールを行うことが大切です。薬としては大きく分けると、インスリンの分泌を促進させる薬と、インスリンの働きをサポートする薬が使用されます。