動脈硬化と糖尿病は、代表的な生活習慣病です。なんとなく聞いたことはあっても、それぞれがどのような病気で、相互に関わりあっているか知らない方は少なくないと思います。
年々日本人の間で増加している二者ですので、かかる可能性は大いにあります。そこで、今回は、動脈硬化と糖尿病の関係についてお話したいと思います。
動脈硬化とは
人間の体には全身に動脈とよばれる血管が通っており、体を動かしたり生存し続けるために必要なエネルギーや酸素、酵素などを運ぶ役割をしています。血液が血管を通る際にかかる圧力を血圧といいます。
しかし、年齢と共に血液を流すポンプ機能が弱まってくると血管のしなやかさも失われ、次第に血管の中にコレステロールがか溜まり、こぶのようになってしまいます。このように動脈が硬くなってしまった状態を「動脈硬化」と呼びます。
動脈硬化になると血管が詰まりやすくなり、心臓に負担がかかったり、臓器や組織に十分な血液が行きわたらないために正しく機能しなくなってしまったり、壊死するなど生命にかかわる事態を招きます。
糖尿病とは
通常、食事をすると膵臓からインスリンとよばれる成分が働き、食事で摂取した糖が血管からとりこまれ、筋肉と脂肪に変化します。インスリンには、肝臓が蓄えている糖を必要な時以外は外に排出しないよう抑える働きもあります。
しかし、インスリンが正常に働くなってしまうと、糖分の取り込みや肝臓からの排出がうまく行われなくなり、糖が脂肪や筋肉に変えられるのではなく、血管のなかに存在しつづけるため、血液中の糖分の値が高くなってしまうのです。
2つの関係は?
動脈硬化と糖尿病それぞれの病気のメカニズムをみてきました。では、この2つの病気は互いにどのように関わりあっているのでしょうか?
糖尿病になると、インスリンが正しく働かないため、血管の中に糖が溜まってしまうと述べました。そして、動脈硬化も血管のポンプ機能が低下することによってコレステロールなどが血管中に溜まる病気です。
もう、お察しがつく方もいらっしゃるかと思いますが、糖尿病は動脈硬化の進行を加速させてしまう病気です。高血糖状態のために、血管の内膜にブドウ糖が付着すると、タンパク成分と化学反応を起こし、活性酸素が作られます。
活性酸素の働きにより血管の内皮細胞に炎症が起き、この炎症を抑えるために白血球がマクロファージという免疫細胞に変化します。ところが、マクロファージは血中のコレステロールを呼び寄せるため、動脈硬化の症状を加速させてしまうのです。
したがって、動脈硬化、糖尿病どちらも過食や運動不足、アルコールの過剰な摂取や喫煙などの生活習慣が原因になって生じることが多いですので、こうした生活を送っている方は今一度生活スタイルを見直すことが大切です。
高脂肪のものや動物性たんぱく質、コレステロールの溜まりやすいバターや卵黄などはなるべく控えるよう心がけ、適度な運動をすることで肥満を予防できます。肥満はインスリンンの働きを悪くさせ、動脈硬化、糖尿病を引き起こす大きな原因です。肥満気味の方は気を付けましょう。
まとめ
動脈硬化と糖尿病。現代の日本人の食生活やライフスタイルから増加してしまった病気です。たくさんお酒を飲む、脂っこいものばかり食べる、運動しない、喫煙…このような生活スタイルが毎日続いているというような方は、この2つの病気になるリスクがとても高いと言えます。少しずつ改善していき、重大な事態を招かないよう注しましょうね。