突然、激しくお腹が痛くなり発症する急性虫垂炎は、症状から胃腸炎かな?と見過ごしやすく、気づいたときには重症化している場合もあります。
急性虫垂炎について知っておくことが大切ですね。今回は、そんな急性虫垂炎の原因・症状・治療法についてまとめます。
原因
急性虫垂炎は、大腸の始まりの部分、盲腸の先端に細く突起している虫垂という部位が炎症を起こしている状態です。炎症を起こす原因は、未だ明らかになっていませんが、いくつかの原因が考えられています。
異物で虫垂の入口が塞がることによる血行不良
糞石と呼ばれる硬い便の塊などの異物が、細い虫垂の入口を塞いで、虫垂を圧迫し、血行が悪くなります。血行が悪くなることで免疫力が低下して、大腸菌などの細菌やウイルスに感染して炎症を引き起こします。
便秘も腸の蠕動運動が弱くなることで、便が盲腸に滞留し、虫垂の入口を塞いでしまう原因となります。
ストレス
ストレスが溜まっていると、自律神経のバランスが乱れて、身体の免疫力が低下します。免疫力が低下すると、虫垂に浸入してきた細菌やウイルスが増えて、炎症を起こします。
さらに、ストレスがかかると、体内では、外部から浸入してきた細菌などの異物を取り込んで、殺菌をする「好中球(白血球のひとつ)」が増えます。
好中球は、増えすぎると細胞組織を傷つける活性酸素を多く出します。この活性酸素により虫垂が炎症を起こすともいわれています。その他、過労や暴飲暴食など生活習慣の乱れも虫垂炎を起こす原因となるといわれています。
症状
急性虫垂炎の主な症状には、腹痛や嘔吐、発熱があります。最初は、上腹部のみぞおち辺りに激しい痛みがあります。
その痛みは、時間が経つとともに徐々に虫垂のある下腹部へ移動してくるのが、急性虫垂炎の特徴です。下腹部が痛む頃には、我慢できないほどの激痛になっていることが多いといわれています。
また、虫垂のある部位を押して、離したときにより痛みが増した場合は、虫垂炎である可能性が高いそうです。しかし、虫垂炎には、このような典型的な腹痛症状が見られない場合もあります。
特に子供の場合は、痛みを上手く伝えられないということもありますが、お腹全体に痛みを感じることが多いようです。
また、高齢者や妊婦では、圧痛(虫垂を押したときの痛み)が見られなかったり、激しい痛みがない場合もあります。そのため、他の病気との区別がしずらく、診断が遅れてしまうこともあります。
次に、腹痛に伴って、吐き気や嘔吐が生じます。吐き気は、しばらくすると治まる傾向にあるようです。逆に、嘔吐が治まらない場合は、すでに、虫垂が破れてしまっている場合もあります。
そして、37~38℃くらいの発熱もあります。38℃以上の高熱が続く場合は、腹膜炎が疑われます。その他、食欲不振、下痢、便秘などの症状が見られる場合もあります。
治療法
急性虫垂炎の治療法には、抗菌薬投与で炎症を抑える薬物療法と手術により虫垂を摘出する手術療法があります。炎症の程度や虫垂が破れているかいないかなど、状態によって治療法が選択されます。
薬物療法
炎症が軽度の初期の場合は、抗菌薬の投与により炎症を抑える内科的治療が可能です。しかし、治療後、約10~20%の割合で再発がみられるようです。
手術療法
手術法には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。開腹手術は、古くから行われている方法で、下腹部を切開して虫垂を切除します。7~10日くらいの入院となります。状態により長くなる場合もあります。
腹腔鏡下手術は、お腹に3箇所から4箇所穴を開けて、そこから内視鏡と手術器具を入れて、内視鏡の画像をモニターで確認しながら、虫垂を切除します。
傷が小さいため、術後の回復が早く、身体への負担が少ない方法です。入院期間も3~5日くらいで済むことが多いです。
最近は、腹腔鏡下手術が行われるケースが多くなっていますが、炎症がひどく、腹膜炎を起こして重症な場合などは、開腹手術が選択されます。
まとめ
急性虫垂炎は、突然発症し、予防が難しい病気ですが、できるだけ早く発見して、治療を行うことが重要です。少しでも虫垂炎を疑う症状が見られたら、早期に医師の診察を受けましょう。